ニーハオ!パンヤオ!
天音が目を開けると、そこは万里の長城ではなかった。
中国の旧市街を思わせる建物が目の前に並び、天音たちの近くには桃の木があり花を咲かせている。
「な、なんだここ……」
光樹が辺りを見回す。この場所には天音たち以外誰もいない。それが余計に不安だった。
「ここは桃源郷ある。人の世界から離れた都あるよ。ここでは私たちのような不思議な力を持った人間や、妖が暮らしてるある」
女の子が急に現れ、天音たちは驚く。天音は疑問を口にした。
「今は八月ですが、なぜあの桃の花は咲いているのでしょうか?桃の花が咲くのは、三月の下旬から四月頃のはずです」
女の子は、「ここは桃源郷ある!いろんな季節の花が咲いてるあるよ!桃の花は中国では縁起のいい花ある!大事あるよ!」と笑いながら天音の手を取る。
「私の名前はワン・ファリンある。早速桃源郷を案内するあるよ〜」
ファリンはそう言い、天音をどこかへ連れて行く。戸惑う天音だが、柊と光樹はどこか楽しげだ。
「あの二人は楽観的だったな……」
天音はポツリと呟いた。