欲しがりな幼なじみ


「つまり、結佳は由良くんに期待してたんだ」

「なにそれ。どういうこと?」



眉を寄せる私の頬を、志保は人差し指でつつく。



「由良くんは自分だけを特別扱いしていると思ってたけど……由良くんの優しさが全部自分に向いてるわけじゃないって知って、嫌になったんでしょ?」



「そういうことじゃない」と噛み付くように言ったけど、志保は気にしない。




「結佳は、由良くんの全部が欲しいんだ」




その瞬間、チャイムが鳴る。

朝のHRの始まりを知らせるチャイム。


反論しようと口を開きかけたけれど、
志保はさっさと自分の席に戻ってしまった。



……志保のばか。
そんなこと、思ってるわけじゃないのに。

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