COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

垂れ流しにしているテレビをぼうっと見つめる。

『今日は…に来ていまーす!』

20代くらいの女性アナウンサーがテンション高めに中継している。
よく見ると、そこは水族館のようだった。

それに気付くと、食い入るように画面を見つめた。

もしかして。

連れ添って歩く姿など見たいはずがないのに、画面から目が離せない。

アナウンサーの背後を歩く人たちを一人一人凝視する。

けれど二人と思しき姿はない。

『以上、今日は今話題の月島水族館から、お送りしました!』

アナウンサーが中継終了を知らせる。
その水族館は、最近話題になっている関西にある水族館だった。


体の力が一気に抜けると、そのままうなだれた。

「…なにやってるんだろ私」

目頭が熱を持って、顔全体にじわじわとその熱が広がっていく。

「う…っ」

今日はこの波が何度も来る。
声を押し殺す体力も残っていないほど、身体は疲れ切っていた。
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