COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
一時期、優香ちゃんの様子がおかしくなった時があった。
突然髪の毛をショートカットにしたと思えば、
ストレスが原因なのか、みるみるうちに痩せていった。
その時期は少しでも優香ちゃんに食べてもらうために、皆でよく晩御飯を食べに外食したりした。
そんなことがあってからは、昭香さんは今でも
優香ちゃんを特に気にかけている。
『…うん、これは美味しいね。
浄心さんをお嫁さんにもらう人は幸せ者だ』
『基くん、それセクハラじゃない?』
『えっ!そんなつもりはなかったんだけど…!』
昭香さんがすかさずツッコむと、室長はわかりやすく動揺した。
…いいな。
私にはこういうやり取りはできない。
同期なのもあるが、室長も昭香さんには少しくだけて話す。
少しだけ黒い感情が沸き起こるのを無視をする。
これも私の日課のひとつ。
そして気付いている。
伏屋室長が私に対して恋愛感情がないことも。
”『浄心さんをお嫁さんにもらう人は幸せ者だ』”
フラッシュバックした声が心にグサリと刺さる。
私はため息を飲み込むように
紅茶の入ったカップに口をつけた。