彼はネガティブ妄想チェリーボーイ
家のインターホンの音でハッと目が覚めた。

今、何時だ?

すっかり暗くなった部屋。

あれ?俺はなんで寝てたんだ?
何してたんだっけ。

上体を起こす。

ハッとして時計を見る。

20時15分。

あれ?俺、ご飯食ったっけ。

今日を思い返す。

試合で負けて、昼食べて、バスで学校まで帰ってきて、報告会。
家帰ってきて・・・

そう、今の今まで寝てたんだ。

今さっき鳴ったインターホンにハッとする。

沙和・・・?

俺はベッドから転がるように落ちて、急いで部屋を出た。

階段を降りて玄関のドアを開けると、おそらく今日の晩御飯を詰めた弁当を手にした沙和が立っていた。

「あ、ご飯、持ってきた。」

沙和が無理した明るい声を出す。

「ああ、ごめん。」
「はい。」
「わざわざありがとう。」

俺は沙和の手から袋ごと受け取る。

「ううん。じゃ。」

沙和は笑ってそのまま帰ろうとした。

あ、一人になりたくない。

直感で思った俺は、つい呼び止める。

「上がってけよ。」
「え?」
「上がってけよ。」
「いや・・・」

沙和が笑顔のまま躊躇う。

「一人で食べるの虚しいじゃん。」

今の俺は結構素直だ。
思ったことが口から出てくる。

一人ではご飯は食べたくない。

とくに試合で負けたようなこんな日は。

俺はよほど寂しそうな顔をしてたのかもしれない。

「そうか・・・じゃあ、お邪魔します。」

沙和は少し考えたようにそう言うと、家に入ってきた。

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