彼はネガティブ妄想チェリーボーイ
「平良・・・」

沙和が俺の名前を呼んだ。
顔を上げた。

沙和は俺の方を向いて両手を広げている。

「いいよ、泣いて。」

お前は何なんだよ。
ドンピシャすぎるわ。

「そんなかっこ悪いことできるかよ。」

そう口から出た言葉とは裏腹に、体は腕の中に吸い寄せられていく。

体温が伝わってくる。
柔らかい。

沙和の体に腕を回す。

こんなに女の人って柔らかいのか。

沙和も俺の体に腕を回してきた。

ギュッとお互いの体が密着する。

不思議なパワーでも持ってんじゃないのか。
なんでこんなに心からホッとするんだ。

体中から凝り固まったプライドが抜けていくようだった。

体を静かに離す。

視線が沙和の瞳を捉える。

静かな俺の部屋。
少し時が止まる。

俺は顔を沙和に近付けた。

ローテーブルとベッドの間の狭い隙間で、俺と沙和は短いキスをした。

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