彼はネガティブ妄想チェリーボーイ
眠さがマックスを迎えて半分眠りかけてた頃に駅に着いた。

よし、帰るぞ。

あ、自転車で来たんだっけ、俺。
二人乗りで帰ろうかどうしようか悩む。

けど、それだと手を離さないとダメか。

んー。
難しい選択。

まあ、家まで近いし、自転車使うほどでもないか。

ねみい。
半分目をつぶりながら歩く。

沙和が手を繋ぎながら、少し支えてくれているようだ。
どうしよう、俺寝てるから家まで引っ張ってってって言いたいけど、そんなこと言ったら「はあ?」って怒られそう。

またシャワー浴びたいけど、それは明日の朝にしよう。

なんとか家の前まで着いた。
よかったー、寝れるー。

「ありがとう。じゃ。」
「うん、じゃ。」

沙和が家の中に入ろうとする。

その後ろ姿を見て、少しだけ起きてた思考回路が動き出した。

ん?
こういう別れ際ってキスとかするもん?
田尻より俺を選んだんだし、やっていいんじゃね?

でも家の前だしな。

嫌がるかな。

まあ、いいや。
サクッとしてしまえ。

やったもん勝ち。

眠さのあまり、判断がすげえ緩んでる気がするけど。

「ごめん。」

俺はそう言うなり、半分夢見てるような感覚でキスをした。

あーーーーー

このまま沙和と寝てえーーーーーー

顔を離すと、俺は半分以上寝ぼけてるような頭を起こすために、パンッと両手で顔を叩いた。

最後の仕事だ。

店のドアを開ける。

「ただいま戻りましたー!」
「あら、おかえりなさい。」

おばさんの声。

俺に笑みをくれた。

ありがとう、おばさん。
おかげで田尻との仲を引き裂くことができました。

「花火よく見えたー?」
「すごく綺麗に見えました!やっぱいいっすね!」

無理して目を開けながら元気はつらつに会話をする。

けどもう限界だ。
これ以上おばさんと会話を続けるなんて困難。

俺は沙和に「じゃ!」と言うと、さっさと店を出てきた。

よし、寝れるーーーー!!!

田尻との仲を引き裂いた。
キスをした。
最高の夜だ。
倒れよう。
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