素直になれない夏の終わり
「……嘘でしょ」
「で、でも、ごく最近であるのは間違いないし!昨日、は洗濯してないから、じゃあ一昨日……とか、いやでもその前……という可能性も……」
「たとえ最近であったとしても、はっきり覚えてないってところが凄く怖い。……後で洗濯しなおそう」
後半の呟きは完全に独り言だったけれど、もちろん夏歩にもバッチリ聞こえていた。
「ちょっと待て、何勝手にひとのものを洗濯しようとしてるの!」
いつ洗濯したのか定かでないのと同様に、具体的に何を洗濯機に入れたのかも覚えていないけれど、いつもの感じだとしたら当然そこには下着も含まれているはずだ。
流石にネットに入れることを面倒くさがったりはしないので、洗濯機の蓋を開けた津田の目に下着が直に晒されることもなかったはずだけれど。
「だって、なっちゃんが全然しないから。洗濯カゴ見た?溢れそうだったよ」
「次の休みにまとめて洗濯しようと思ってたの!」
「そっか。じゃあ俺が今洗濯したら、次の休みはゆっくりできるね。どっか遊びに行こうよ」
そう言って津田は、一つのマグカップにココアを、もう一つにはコーヒーの粉末を入れる。
「うーん……せっかく美味しそうなシュークリームがあるんだから、やっぱり奮発してドリップのやつを買うべきだったな」
残念そうに呟いて、津田は二つのマグカップに沸かしておいたお湯を注ぐ。