【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~

「あの、他の皆さんのぶんはないんですよね? でしたら、私だけもらうわけにはいきません。支店長の奥様に差し上げたらどうですか?」

「それが……妻とは別居中でね」

「そ、そうでしたか……」

気を利かせたつもりが、とんだ地雷を踏んでしまったらしい。

机に頬杖を突いて急に哀愁を漂わせ始めた支店長に申し訳なく思いつつも、これは受け取れませんと念押しするように袋を彼に返した。

「お話がそれだけなら、私は仕事に戻りますね」

そして、デスクですっかりうなだれてしまった支店長を残して、店舗の方へ戻る。

幸い、私の姿には誰も注目しておらず、ホッとしながら窓口業務を交代してもらっていた先輩の元へ戻る直前だった。

「沖田はただいま席を外しておりますのでぇ、ご用件は私が承りますぅ」

不自然に甘ったるい先輩の声が聞こえ、不気味に思いながら彼女のいる窓口に近づいていく。

すると先輩の頬はピンク色に染まり、目はキラキラ輝いて接客中のお客さんに釘付けだった。

いったいどんなお客さんなの? と疑問に思う間もなくその人物と目が合い、私は口をあんぐりと開けて固まった。

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