一途な執事と甘いティータイム



「その時のこと菓乃も覚えてるの?」



「うん、大河と隠れんぼしてた時に迷っちゃって助けてくれたんだ。僕の秘密の部屋だって案内してくれて、裏庭で一緒に遊んでた。その時のお兄ちゃんの笑顔がずっと忘れられなくて……」



またあのお兄ちゃんの笑顔が見てみたいなって。



ずっと思ってた。



「へぇー、菓乃はそのお兄ちゃんのことが好きだったんだね」



「うん、1度きりだったけど大好きだったなぁ」



「うんうん、有嶋先輩のことがねぇ」



「うん有嶋が……って、もう美菜子!」



もしかして誘導尋問されてない?



私がはっと気がつくと、美菜子はクスクスと笑っていた。



絶対わざとだ。



「からかわないでよ……」



「でも、少なからず有嶋先輩のこと気になってるんじゃない?」



「…………、」



もしかしたら、そうなのかもしれない。



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