一途な執事と甘いティータイム
「ばっ!……有嶋!」
「いけませんね、菓乃お嬢様。私のことは"悠生"とお呼びくださいと言いましたよね?」
おまけに私に出された課題。
前に一度呼んだことはあるけれど、慣れなくて、恥ずかしくて……
下の名前で呼んでと言われたティータイムもなるべく名前を呼ばないようにしていた。
それなのに、常に下の名前で呼べなんて無茶苦茶な……
「有嶋の方が呼び慣れてるし、それじゃダメ?」
「ダメです」
「いいじゃん!」
「そうだ、それならこうしましょう」
あぁ、嫌な予感がする。
なんで毎回こういう提案に私は運がないんだろう。
「私のことを"有嶋"と呼んだら罰として"ここ"に───」
すーっと下唇を人差し指でなぞられる。
ただそれだけで私の胸がうるさいくらいに音を立てる。