気づけばいつも探してた
空港に着くと、翔は待合室で私たちに待つように言い、一人レンタカー返却の手続きをしに行った。

祖母の車いすのロックをかけ、その横のベンチに腰を下ろす。

「みーちゃん、今回の姫路城。本当に楽しかったよ。ありがとうね」

祖母は私の手をそっと握り締め言った。

「そう言ってもらえてよかったわ。でも、私の気が利かなくて入院するはめになっちゃってごめんね」

「そんなこと気にするんじゃないよ。こんなよぼよぼの体のおばあちゃんをここに連れてくるだけでも大変だったのに」

「うん」

私は頷き、祖母の手を握り返した。

「それにしても、翔さんは本当に頼りになる素敵な男性だねぇ」

昨日も言ってたっけ。

私は苦笑しながら「そうだね」とだけ答える。

「それに、やっぱり翔さんはお医者様なんだってね。しかもT大病院だって」

「T大病院?」

思わず祖母の方に身を乗り出した。

だって、T大病院って竹部さんと同じなんだもの。

「何科とかは聞いてない?」

できるだけさりげなく祖母に尋ねてみた。

「ええ、確か最近小児科にうつったとか言ってたかねぇ」

小児科か。

脳神経外科じゃないんだ。

なぜだか竹部さんと同じじゃないことに安堵していた。

それにしても、翔が医者で、竹部さんと同じT大病院なんて偶然あるのかしら。

少しずつ翔という人間を知っていく。

知ったところで何も変わらない。

変わらないはずなのに。

少しずつ私の中にある翔への気持ちが変わっていくのを止めることができない自分に焦っていた。
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