気づけばいつも探してた
私も最後のビールを飲み干し店を出ることにする。

「お勘定お願いします」

厨房で洗い物をしていたおかみさんに声をかけると、おかみさんが首を傾げてこちらにやってきた。

「さっき帰ったお連れさんが、あなたが席を立ってる間に全部払ってくれましたよ」

「え??」

まじですか?!

またかっこいいことしてくれちゃって。

ご馳走なんかしてもらったら、お礼しなくちゃいけないじゃない。

結局、なんだかんだでたくさん飲んで食べちゃったもの。

当分、あのメモは捨てれそうにない。

翔……か。

どこの誰かもわからない。

だけど、そんな悪い人ではないよね。

私はもらったメモを自分の手帳に丁寧に挟むと、椅子から立ち上がり「ごちそうさま!」と厨房に声をかけ店を出た。


それが、翔との出会い。
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