気づけばいつも探してた
「帰った日の夜勤なんて大変なんじゃ?」

『もともと俺ってそんなに睡眠時間必要ないんだ』

「だけど……」

『心配いらないって!とりあえず、美南はおばあちゃんの持ち物だけは完璧にしておいてくれれば。特に薬は忘れるなよ』

「はいはい、もう入れてますってば」

『じゃ、何の問題もないよ。明日の朝8時に空港で待ってる』

「うん、よろしくね」

お互いにおやすみと言って電話は切れた。

まだ仕事中だったのか、翔の電話の向こうは何やら騒がしかった。

忙しいのに、きっと無理して行ってくれる翔に私だけでなく母もとても感謝している。

だから明日は空港まで行って挨拶したいと言って聞かないんだよね。

母を連れていくのはどうも面倒くさくて嫌なんだけど、翔に会いたいだけじゃなく、祖母のことも心配だろうから渋々了解した。

「とにかく、少しでも心配な状態になったらすぐ帰ってくるのよ」

母は洗濯物をたたみながらそう言った。

「わかってる。緊急時には宿泊場所から病院も近いし、なんとかなると思うわ」

「無理だけはさせないで」

「うん」

それでも母の表情は硬いまま。

姫路城への渡航は快諾したものの、やはり心配なんだろう。

祖母が遠出なんて本当に久しぶりだったから、その気持ちは私にも十分すぎるくらい理解できていた。


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