イケメン不良くんは、お嬢様を溺愛中。
「なんというか……怖いおまじないですね! この約束、なんとしても守らなければならない気がしてきます!」

弾けたように笑うディオくんに、みんなの顔にも笑顔が伝わっていく。

「愛菜」

ディオくんは私の小指をもう一度つなぎ直して、軽く自分のほうへ引っ張る。

「え? ディオくん?」

「ますます、愛菜のことを諦められなくなりました。このまま、私と一緒に来ませんか?」

「ええっ」

いたずらっぽく目を輝かせ、本気とも冗談ともとれる優雅な笑みを浮かべるディオくん。

パチパチと目を瞬かせていると、お腹に腕が回って後ろに引き寄せられる。

とんっと背中に当たった感触で、私を抱きしめているのは剣ちゃんだとわかった。


「行かせるわけねぇだろうが」

「仕方ないですね。では、絶対にまた会いに行きます。覚悟していてくださいね、剣斗」

「返り討ちにしてやっけどな」


不敵に笑い合うふたりに、なぜか微笑ましい気持ちになったのはきっとみんなも一緒。

エレベーターに閉じ込められたことがきっかけで、剣ちゃんはディオくんとよきライバルみたいな関係になったみたい。

私もディオくんがいたからこそ、剣ちゃんとどんな壁も乗り越える覚悟ができた。

感謝してもしたりない。

私たちにとって、大事な友だちだ。

バイバイするのは寂しいけれど、絶対また会おうね。

きっと近いうちに来るだろう再会の日を信じて、私たちは遠ざかるリムジンを見送った。
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