死者の怒り〜最期のメッセージ〜
「け、結婚はまだ……」

大河も顔を赤くする。しかし、どこか嬉しそうだ。

和やかな雰囲気の中、食事は進む。テーブルに並べられた煮物も焼き魚も、味噌汁も冷や奴もご飯もあっという間になくなった。

「おいしかったです!ごちそうさまでした!」

大河がそう人懐っこい笑顔を見せ、香澄と渉が優しく微笑む。藍はうつむき、赤い顔を隠した。

「デザートにゼリーを買ってきたの。今から出すわね」

香澄がそう言い立ち上がった時、玄関が激しく叩かれる。

「誰かしら?」

藍が立ち上がろうとすると、「危ないですし、俺が見てきます」と大河が立ち上がる。しばらくすると、「ちょ、ちょっと!」という大河の声と、ドタドタと足音を立てて何者かがリビングに入ってくる。

「美里さん!?」

ゼエハアと荒い息を吐きながら、福山美里が藍の肩を掴む。

「藍ちゃん!あなた、監察医なんでしょ!?私の友達がし、死体で見つかったの!!犯人を捕まえて!!」

「犯人?」
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