私の彼は世界一の有名人。〜世界トプ選手との恋愛事情〜
『ありがとう。ここまででいいよ』



『荷物運ぶの、手伝うか?』



『うんん、大丈夫。』



『そうか、』



『うん。』



空港の入口。



レオが目の前に止めた車から
キャリーを下ろしてくれる。



『じゃあ、ありがとうね、レオ』



『あぁ、じゃあな』



そう言って、レオの右手が伸びてくる。



あ、これは、



右手を止める。



これは、ダメ。



『レ〜オ〜、ダメって言ったじゃん!』



はは!っと笑う。



この笑みは、上手くいった。



『あ、あぁ、すまん。』



『そーだよ!
それに!私も彼氏に見られたら怒られちゃう』



ね?



そう言って笑うと、
微かにレオの眉が上がった気がした。



この笑みも、上手くいった。



『それは、悪かった。』



『許す!』



にひひ、と前のように笑う。



ピリリリー



スマホが鳴る。



『あ、結翔からだ。』



スマホを繋げる。



「もしもーし、あ、着いたよ!


あ、おけおけ!じゃあ、そっち行くね!」



笑う。



笑って、レオに手を振る。



レオの方を向いて、レオから1歩離れる。



『彼氏、か?』



『うん!』



バイバイ、と口パクで言って
レオに背を向ける。



1歩、2歩、3歩、4歩



ゆっくりと、
確実に、
レオから離れていく。



じゃあね、レオ。



最後の嘘、信じてくれて、



ありがとう。



止めようと、
私の二の腕を掴もうとした手を、



下ろしてくれて



ありがとう。



サヨナラ、



レオルド・スミス。
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