西校舎の佐倉くん
放課後。
止まない雨のせいで生徒たちは帰るのをためらっている。
渋々帰っていく生徒たちの足取りも、いつもより格段に重そうだった。
「ばいばい実咲〜!」
「ばいばい皐月」
それに比べて皐月は、むしろいつもより軽快なステップで廊下を駆けていく。
今日は友達と出かけるのだそうだ。
わざわざこんな雨の日に、とは思ったけれど、楽しそうな皐月を見ると少し羨ましい。
数十分後、教室には私と ───
──── 篠宮くんのカバンだけが残っていた。