月夜に笑った悪魔


「あぁ、そっかそっか!そういや男って18からじゃないと結婚できないのか!
じゃあ美鈴の彼氏ってわけか!」


隼人は少し驚きつつも笑う。



一方で私は、“彼氏”と言われて思ったことがひとつ。


これは前にも思ったことなのだが……暁は“彼氏”ということでいいんだろうか。


婚約者だけど、もう両想いだし……彼氏、だよね?
まちがってないよね?



「…………」


でも、もしまちがってたら……なんて思うと恥ずかしくて。
私は隼人の言葉になにも返せなかった。






「……来い」


暁に強い力で手を引っ張られる。
その力で私の足は動き、彼の後ろについて行く。


「えっ、ちょっと……暁!?」



とまることを許されない。
彼は私の手を離さず強く握り、早歩き。



そのまま教室を出て、階段を上って。

彼がガラッと勢いよく開けた教室は、社会科準備室。


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