月夜に笑った悪魔


「一条組若頭、一条 暁(いちじょう あかつき)。よろしく」


口角をあげて、私の頬から手を離す暁さん。


「日南美鈴です、よろしくお願いします!」


私も挨拶をしてぺこりと頭を下げる。
そうしたところで。


「ちなみに俺、16だから」


暁さんはそう言った。


……16、とは?
身長のことじゃないだろうし……まさか。


「美鈴より1コ年下。だから“お兄さん”じゃねぇよ」


首を傾げる私に、説明する彼。


「と、年下!?」


本当にまさかすぎて、大きな声が出た。


……ぜんぜん年下に見えない。
身長は高いし、大人っぽい顔してるし、色気はあるし……どこからどう見ても年上にしか見えないよ。


信じられなくて、上から下まで暁さんをよく見る。


「ホントに16だから。結婚は俺が18になるまで待ってろよ。それまで俺の婚約者ってことでよろしく」


そう言う暁さんは、嘘を言っているとは思えなくて。
本当に16歳なんだと思った。

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