月夜に笑った悪魔


3年間も一緒にいれば、それなりに思い出はたくさんある。
目を閉じると、それを思い出して……眠れなかった。


やっぱり和正がまだ好きで……胸が苦しくて、一晩中泣いた。



そのせいで今日の朝はすごく目が腫れていて、それはもうひどい顔。
必死に目を冷やして、それなりに今はマシになったほうだけど……ちゃんと顔を見られたくないから少し下を向いてご飯を食べた。





「おまえ、寝てねぇだろ」


ちょうど最後のひと口のご飯を口に入れたところで、聞こえてきた声。
その声は、目の前に座っている暁の声。


「えっ」


今まで口を開かなかったのに、いきなり話しかけてくるからびっくり。
顔を上げれば、目が合って笑われた。


「そんなに目、腫らしてよくウソ言えたな」


……なんでわかるんだ。
この男、私のこと見てないようで意外と見てる?


「ま、枕と布団が変わると眠れなくて……」


あはは、と笑って返した。

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