月夜に笑った悪魔



「オンナ起きたぞ~」


男性は私を見るとそう言って。
「やっとかー」なんて声が返ってくる。


またしても、知らない人の声。



私は首を動かして声のしたほう──うしろへと目を向ければ、そこにいたのはスーツに身を包んだメガネをかけた男性。



その人の手には鋭い刃物が握られていて、未玖ちゃんの首元にそれを当てている。
その隣には、青白い顔の巧くん。




一瞬で、気を失う前の記憶が蘇った。



そうだ。
未玖ちゃんと巧くんが来て、話していたら急に車が来て……。

この人たちに気絶させられ、車に乗せられたんだ……。



……この人たちは誰だ。
月城組かと思ったが、絶対ちがう。


月城組の娘と息子である2人の口元にはガムテープが貼ってあるし、こんなひどい扱いをしているんだから。

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