青の秘密を忘れない
第3章 二度目の告白
翌朝、二日酔いになっていなかった。
それによって、あの夜のあれこれがやはり自分の意思だったと自覚する。

私は、青井君のことが好き。

それは正直、意外なことではなかった。
自覚していないだけでとっくに好きになっていた。
それは認めるとして。

青井君が、私を好き……?

そう文章にして考えた瞬間、顔が熱くなるのを感じた。

いや、まさか。
私は青井君より六歳年上だし、特別美人な訳でもない。
ましてや、既婚者の私を。
……何故?
もはや、青井君とキスしたことは自分の願望が見せた夢なのではないかとさえ思った。
でも、唇の感触をリアルに思い出してしまう。

やっぱり酔ってたからかな。
もしくは、からかわれてたんだ。

何より、土日に彼から何の連絡もなかったことで不安が募っていた。
私からも連絡することは怖くてできなかった。

翌週月曜日。
青井君に会うと思うと、なかなかオフィスに入れなかった。

どんな顔して会えばいいの?

時計を見ると、八時四十五分を回っていた。
さすがに遅刻する。
覚悟を決めてオフィスに駆け込むと、真っ先に青井君と目が合う。

彼はちらりとこちらを見て、いつもの口調で「おはようございます」と言った。
「あ、おはよう……」

「ちょっと質問してもいいですか?」

すっかり彼はいつものテンションだった。
そのことに安心したと同時に、少しがっかりしている自分がいた。

やっぱり、酔っていただけ……。

いつものごとく私の隣に座り込んだ彼の顔が、私の耳元にぐっと近付く。

「今日、ご飯行きましょう。二人で」

私は内容を理解する前に、反射的に頷いていた。
青井君は意味深に微笑んで席に戻っていった。

夢じゃなかった。

お昼休憩になったら、迎えはいらないと夫に連絡しよう。
そう思った瞬間に胸がチクリと痛んで、罪悪感を抱いた。
でも、それを覆い隠してしまうくらい、青井君との約束に心躍っていた。

辞めるまででいい。
青井君といたい。

クズだと解っていても、走り出した気持ちを抑えることはできなかった。
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