初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
「香子の仕事はどうなんだ?」

「順調ですよ。新入社員教育の方も要領が良い子なので問題なく進んでいるの。凄く優秀な子で独り立ちしたがっているのを感じるんだけど、新人のときに覚える基本は大事でしょ? 彼女があとで困らないように三月までしっかり引継ぎをして行こうと思ってるの」

柊哉さんが誤魔化しているのは分かっているのに、つい真面目に返事をしてしまう。

私の状況に興味を持って貰うのが嬉しく感じるからだ。


「香子の考え方でいいと思う。良い先生だな」

柊哉さんが笑みを浮かべながら言う。優しさと男らしさを感じる私の大好きな表情だ。

「柊哉さん、おだててるでしょ?」

少し照れながら答えると、彼の腕が私の肩に回り引き寄せられる。

至近距離で見つめ合うと恥ずかしいのに、自然と顔が綻んでいく。

私は相当柊哉さんが好きみたいだ。

どちらからともなく唇を重ね合う。

軽いキスを何回か交わす。

私たちは会話が増えただけでなく、こうしたスキンシップも格段に増えていた。

楽しく話しているとふとした拍子に愛しさがこみ上げ、どうしようもなく触れ合いたくなるのだ。

柊哉さんのキスは段々深くなり、気付けば抱き上げられ彼の寝室に運ばれていた。

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