初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
「桐ケ谷、恋人居たんだ?」

心底驚いているその様子に、複雑な思いになった。

私に彼がいるとそんなに違和感がある?

「桐ケ谷さんの彼氏ってどんな人なんですか?」

小林さんが興味津々といった様子で尋ねて来る。

みんなも知っている桜川柊哉さんです。とは言えない。それでも脳裏に浮かぶのは柊哉さんの姿だった。

「年上で頼りになる優しい人だよ」

「へえ、仕事は?」

「……会社員だけど」

あまり追及されると困ってしまう。さり気なく話題を変えようと考えていると、進藤君がぼそりと呟いた。

「彼氏とは長いのか?」

なんだかあまり機嫌が良くない様子。やっぱり早くこの話題は変えよう。

「まだ半年経ってないよ。それより斎藤さんの近況聞きたいな」

「私は報告出来るようなことないよー。相変わらず彼氏もいないし……進藤君は東京でもモテてるの?」

「あっ、それ私も聞きたい」

斎藤さんの質問に、小林さんも乗ってくる。

話題の中心になった進藤君は、困ったように小さく笑ったあと、「全然ダメ」と溜息混じりに言った。


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