【放浪恋愛】まりなの日記

【春の雪】

３月25日・雪(日中、時々小雪が降っていた)

アタシは、前夜三原市内にあるビジネスホテルで一夜を過ごした後、再びキャリーバッグひとつを持ってJR山陽本線の電車に乗って広島駅まで行きました。

広島駅に降り立ったアタシは、キャリーバッグひとつを持って、電車通りを歩いて平和記念公園まで行きました。

平和記念公園に着いたとき、春の雪が降りだしていた…

雪は、降っても降っても積もることなく地面にとけて行くのに…

アタシの肩に、雪が積もっている…

アタシは…

どうして…

恋をしたとしても…

結ばれることなく…

愛があっけなく壊れてしまうばかりなのね…

アタシは、何度も繰り返してつぶやいていた…

アタシは、松山で暮らしている友人のところへ行くことを決意した…

宇品港に着いたアタシは、キャリーバッグひとつを持って松山行きの瀬戸内海汽船のフェリーの二等客室に乗り込んだあと、出航の時を待っていた…

出航を告げる船の汽笛が高らかに鳴り響いたあと、フェリーは港から離れて行く…

アタシは、二等客室でひざをまるめてひとり座っていた…

アタシは、海をながめながらウォークマンで歌を聴いていた…

夕方４時前に、松山観光港にフェリーが到着した…

アタシは、キャリーバッグひとつを持ってタラップを渡って、陸に降り立った…

松山に着いた時、空は晴れ渡っていた…

アタシは、まだ冷たい風がふく春まだ遠い空模様の下を歩いて、いよてつ高浜駅へ向かっていた…

アタシは、大阪のスナックで働いていた時によくして下さったスナックのママがすすめて下さったやしきたかじんさんの歌を口ずさんでいた…

『やっぱ好きやねん』『大阪恋物語り』『生まれる前から好きやった』『思い出にて…』『なめとんか』など…

何度も繰り返して歌っていると、なぜか伊丹で同棲生活をしていた時のカレのことばかりを思い出してしまうわ…

そしてアタシは、いよてつ高浜駅から高浜線の電車に乗って松山市内へ向かっていた…

衣山駅を過ぎた辺りから、再びにぎやかな都会(まち)の風景に出会った…

電車が松山市駅に到着した…

アタシは、キャリーバッグひとつを持って電車を降りたあと、改札へ向かっていた…

プラットホームでは、横河原・郡中・松前・余戸(ようご)・高浜方面に向かって家路へ急ぐ人々でごった返していた…

アタシは、人々の流れにさからって駅の外へ出た…

駅の外に出たアタシは、地下街を歩いて銀天街から大街道へ向かって歩いていた…

傷ついた心とキャリーバッグひとつを持っているアタシは、どこへ行こうとしているのか…

アタシは、大街道の三越と全日空ホテルの前にやって来た…

この時、アタシが卒業した女子高の卒業生たちの同窓会が行われていた…

アタシと同じ年度の卒業生たちが、エントランスにたくさん集まっていた…

同級生たちは、結婚をして幸せな家庭持っているコもいれば、事業で成功をしたコや勤めている会社で部長に昇進したコもいた…

アタシは、同じ年度の卒業生たちの今の姿を見たときに、どうしてアタシはこななヤサグレた女になってしまったのかなと思って悲しくなっていた…

アタシ…

ここには居場所がないわ…

アタシは、悲しくなりましてその場から立ち去ろうとしていた…

その時に、友人がアタシをあわてて呼び止めたけど、アタシは『ここには居場所がない!!』と言うたあと、激しい声をあげて泣いていた…

アタシが女子高を卒業してからの18年間は…

一体何だったのだろうか…

そのように思えば思うほど、アタシは悲しくなっていた…

(このあと、まりなは友人とふたりで松山市内にある居酒屋さんへのみに行って、伊丹で同棲生活をしていた時のカレと別れたことを話していました。)