【放浪恋愛】まりなの日記

【どんなにがんばっても、お給料が上がらないのに、どないせぇと言うねん】

6月22日・くもり(朝晩は雨だった)

アタシは、あいつとドカバキの大ゲンカを起こして家を飛び出した後、かつて松本町のスナックにいたときに一緒に働いていたコが暮らしているアパートに身を寄せていました。

新しい住まいがみつかるまでの間、アタシはそこからバイトに通うことにしました。

この時アタシは、市役所前にあるローソンのバイトに行ってたけど、清掃会社については当分の間…いいえ、もうやめるから勝手に休んで抵抗することにしました。

あいつとドカバキの大ゲンカを起こしたアタシは、ゲシュクしていた家とも気まずくなっていたので、この街には居場所なんかありませんでした。

この時、あいつも工場を勝手に休んで職場に対して徹底抗戦を構えていた…

アタシはこの時、またオミズの世界へもどることを決意したけん、今さらあいつとよりを戻す気はなかった…

そんな時でありました。

アタシがバイトをしている市役所前にあるローソンに戒田さんが突然やって来ました。

戒田さんは、アタシが清掃会社に出勤していないこととあいつが工場を勝手に休んで職場に抵抗していることを聞いて、心配になっていたけん、アタシの元にやって来たと思う…

戒田さんは、アタシにもう一度あいつと話し合えと言うたけど、アタシはあいつからきつい暴力をふるわれて心に深い傷を負っているので、あいつとは話し合わないと言うて拒否した…

アタシはこの時、陳列ケースに新しく到着しましたお弁当をならべる仕事をしていた…

戒田さんはアタシに、清掃会社の人がアタシがよくがんばっているからお給料を上げようかと言うてはったけど、アタシは『うそをつくのもたいがいにしてよ!!』と怒鳴りつけたあと、こう言うた…

「戒田さん!!アタシね!!近いうちに水商売の世界に戻ることにしたから…今ごろになって、お給料を上げようかと言う話なんてムシがよすぎるわよ!!とにかく帰ってよ!!アタシは今バイト中なのよ!!これ以上居座るのだったら店長を呼ぶわよ!!」
「まりなさん、清掃会社の人たちは人手が足りないからまりなさんに戻ってきてほしいと言っているのだよ…お給料を上げるのは本当なのだよぉ。」
「あのね!!うそをつくのもたいがいにしてくれるかしら!!アタシが清掃会社に再就職をするときに通勤手当てと住宅手当てなどのお手当が出るよというたわね…せやけどなんなのかしら一体!!手当ては1円もでえへんかったじゃないのよ!!従業員さんたちのお給料を平気でピンはねをしておいて、経営がくるしいくるしいって、ピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーと経営者が泣きよる…ピンはねした分で、経営者のドーラク息子が平日ゴルフをしたり、毎晩のようにスナックの従業員の女の子にブランド品をプレゼントしたりしてはるじゃないのよ!!ああ、それだけじゃないわよ!!経営者がヤクザの組長からゼニもらいよったと言ううわさまであるのよ!!あななクソッタレ経営者の会社はつぶれてしまえばいいのよ!!…ったくも!!」
「まりなさん、それは言い過ぎだよぉ…清掃会社の社長さんも悪かったとあやまっているのだよ。」
「それは、心の底からの言葉なのかしら?」
「どう言うことなのだね?社長さんは、従業員さんたちに心の底からあやまっているのだよ。」

アタシは冷めた声で『アホみたい…ふざけとんかしらねぇ…クソッタレ社長は…』と言うたあと、戒田さんにこう言うた…

「あんたはいつから清掃会社の社長さんの肩を持つようになったかしらね!?清掃会社の社長さんとあんたはどなな関係があんのよ!?」
「どういう関係があるって…」
「アタシを清掃会社に再就職をさせたのも、世間話のついででしょ!!」
「何を言っているのだね!!まりなさん、せっかく雇って下さった清掃会社の社長さんはね、厚意でまりなさんのお給料をあげると言うているのだよ!!」
「うるさいわね!!アタシは公務員じゃないのよ!!それじゃあ、お給料を上げるから掛け持ちバイトをするなと言いたいわけなのかしら!?」
「そんなことはひとことも言ってはいないよぉ。」
「それじゃあ、あんたはアタシにどうしてほしいのよ!?」
「どうしてほしいのよって…清掃会社の社長さんはまりなさんがよくがんばって生活費を稼いでいるから、今のお給料に1万3800円を上乗せするから、また元気になったら来てほしいと言っているのだよ。」
「1万3800円…大昔のナツメロみたいなこと言わんといてくれるかしら…」

アタシは、冷めた声で戒田さんにこう言うたあと、ダメ出しの言葉を喰らわせた…

「1万3800円って…それだけしか上がらないの?」
「まりなさん。」
「今のお給料と合わせれば13万円よ!!」
「そうだよ。」
「アタシのお給料でどうやって土地を買うのよ!?」
「だから、貯金をすれば…」
「ゼッタイ無理よ!!頭金払うだけでも手がいっぱいなのに、どうやって土地を買うのよ!?どうやって貯金をするのよ!?」
「そのために手当ても出すよと社長さんは言うているのだよ。」
「やかましいわねあんたは!!クソッタレのヤドロク社長に言うておきなさいよ!!従業員さんたちのお給料を平気でピンはねするようなチンピラ経営者の元では働けないわよ!!あんたね!!グダグダグダグダ能書きたれているのだったら、あんたがアタシの立場になった時のことを考えてみなさいよ!!がんばって稼いだお給料が約束とゼンゼン違っていたらどーするのよ!?それでがまんできるのかしらね!?何とか言いなさいよ!!」
「何とか言いなさいよって…私は…妻子にごはんを食べさせて行く立場なのだから、お給料が減った分は家族みんなで切り詰めて行くしかないのだよぉ…お給料が少ないことに文句は言えないのだよぉ…」
「文句言えないと言うのは、ひ弱な男である証よ…あんたはどこのどこまでなさけない男なのかしらね…せっかく雇って下さった会社だからと言うけど…学生時代に好きホーダイしよったけん、条件の悪いことに就職したのでしょ…だからあんたはなさけない男なのよ…それよりもアタシは今すごく忙しい時間帯なのよ!!その時にフラりとやって来て40過ぎた女にグダグダグダグダやかましく言わんといてくれるかしら!!アタシの仕事のジャマしたから店長にチクるわよ!!」

アタシは、戒田さんに怒鳴りつけた後、奥の部屋へ逃げ込みました。

(まりなは、この一件で清掃会社をやめて再びオミズの世界に出戻りました。)
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