【放浪恋愛】まりなの日記

【旅立ち】2016年

1月29日・はれ

アタシはこの日、スポーツ新聞社のバイト契約を完全に破棄する手続きを取りました。

はりつめた雰囲気の中で働くのがイヤやったので、長期間勝手に休んでホンマにすんまへんでした…

新規オープンのスナックのママさんからアタシに『できるだけ早く出発をしてください。』と言う伝言が来たので、出発準備を急ぐことにしました。

セブンイレブンのバイトは、3日前に前日までのお給料を現金で受け取った後やめました。

その後、楠町(くすのきまち)のマンスリーアパートを出て、キャリーバックと赤茶色のバッグを持って、六甲アイランドのフェリーセンターへ行きました。

その日の夕方に、アタシは新門司港行きの阪九フェリーの乗船の手続きを終えた後、レストランへ行って、瓶ビールとカツ丼定食を注文して夕食を摂っていました。

ちょうどその時に、行方不明になっていた虫ケラオヤジの小娘が突然アタシの前に現れました。

小娘は、アタシに『助けてほしい。』と言うてきたけど、アタシは『断るわ!!』と言うて突き放したったわ…

「あんたね!!この5ヶ月の間、行方をくらまして、どこで何しよったんで!?」
「どこで何をしていたって…友人のところにいたわよ…」
「うそばっかり言われん!!男のところに入り浸っていたのでしょ!!アタシはね!!あんたがウソをついてはることはすぐに分かるけん!!どななウソを取りつくろってもアカンもんはアカンのよ!!」
「まりなさん!!」

アタシは、タンブラーに入っているビールをイッキのみしてから小娘にこう言うたったわ…

「アタシね!!これから知らない遠くの街へひとりぼっちで旅立つことに決めたけん!!アタシはもう一度やさぐれ女として生きて行くことにしたけん!!」
「まりなさん、どうしてなのですか!?どうして決めつけてしまうのですか!?」
「アタシはね!!ちっちゃいときからずっとひとりぼっちで生きてきたのよ!!せやけん、男とトラブった回数もぎょーさんあるねん!!もめ事もたびたび、職も転々としてきたのよ…せやけどアタシは悪いなりに生きてきたのよ!!あんたもアタシのようなやさぐれた女になりたいのかしら!?」

アタシは小娘に怒鳴りつけたあと、飲食代の伝票を小娘に叩きつけた…

「アタシのごはん代を払っといて!!」

アタシは、小娘にこう言うたあとキャリーバックと赤茶色のバッグを持って、レストランを出てフェリー乗り場へ行こうとしてはったけど、小娘がアタシの行く手をはばんだけん、ケンカになってもうたわ…

「どいてよ!!」
「まりなさん、お願いです!!」
「どいてといよんのが聞こえへんのかしら!!」
「まりなさん、アタシはまりなさんしか頼る人がいないのです…お願い…助けてください!!」
「甘ったれるんじゃねえよ!!」

(バシッ、バシッ、バシッ、バシッ…)

アタシは、小娘の顔により強烈な往復ビンタを喰らわせたった…

その後、アタシはビール瓶に残っているビールを小娘の頭からかけたった…

「甘ったれるんじゃないわよ!!浮世の世知辛さを知らずにノホホンと育ったあんたなんかに、やさぐれ女のアタシの気持ちなんぞ分かってたまるか!!アタシはね!!松山の女子高を卒業したあと、西日本の各地を転々として生きていたから、ひとつの街に定住して、パターン化された暮らしを送るのはイヤなんよ!!」

そしてアタシは、食べ残したカツ丼定食のお吸い物を小娘の顔に思いきりぶっかけて、パンプスで思いきりけとばしたったわ…

小娘は、グスングスンと泣いてはったけど、アタシは『フン、ざまあみろ』と言う表情でにらみつけたあと、キャリーバッグと赤茶色のバッグを持って、レストランから立ち去った…
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