【放浪恋愛】まりなの日記

【アタシにかくれて、何をしているのよ…】

10月10日・晴れ

アタシはこの時、カレとこのまま同棲生活を続けてもいいのかどうかとひどく悩んでいたので、ふたりの関係を清算(せいさん・きれいに始末することを言う)しようと考えていました。

この頃、留守番電話の赤いランプが毎日のようにチカチカと点滅している状態が続いていたので、アタシはカレに対する不信感を強めていました。

カレは…

もしかしたらアタシに隠し事をしているかもしれない…

この当時、替え歌ギャグでおなじみの嘉門達夫さんの歌で『鼻から牛乳』と言う歌がはやっていた頃だったから、彼はアタシ以外の女にのめり込んでいるのではと思っていました。

それはさておき、留守番電話につきましてはカレが毎日チェックをしていました。

この日、カレが前日の夜から帰っていなかった…

アタシは、留守番電話の再生ボタンを押して録音内容を聞きながらノートにメモを取っていた…

この日は、伝言が2件入っていました。

最初の一件は、前夜の11時50分頃だったと思う…

ピーッと言う発信音のあとに、年輩の男性の声が聞こえてきた…

カレの実家のお父さまからのメッセージだったと思う…

『(カレの名前)、どうしたのだ!?何で実家に帰ってこないのだ!?ワシが知人に頼んで決めていただいた会社のどういうところに不満があると言うのだ!!正社員で安定した収入があって、福利厚生が充実していて社員旅行などの行事がたくさんあるのだぞ!!老後は安定した年金があるので、人生バラ色の会社なのだぞ!!社長さんが(カレの名前)が来ないからすごく心配しているのだよ!!…主任の(男性)さんは仕事を教えてあげると言うてはるのだよ…みーんなやさしい人たちばかりがいるのだよ!!にかく、一度だけでもいいから顔を見せに帰って来い!!』

カレのお父さまは、半分泣きそうな声で怒っていた…

2件目は、アタシが帰ってきた直後に録音されたメッセージだった…

声のヌシは、20歳くらいの女だったと思う…

『あっ、アタシィ…どうして電話くれないのよ…昨日何回かけても出なかったのはどうしてなの?アタシのことキライになったの?ねえ(カレの名前)、何とか言ってよ…お願いだから…ねえ(カレの名前)てば!!…アタシ…ものすごく心細いのよ…(カレの名前)の声が聞きたいの…ねえ…なんとか言うてよ…』

アタシは、2件目のメッセージを聞いたときに、思い切りブチ切れてしまった…

何なのかしら一体もう!!

カレはアタシよりも、他の女の方が好きだと言いたいわけなのね!!

あんまりだわ!!

許せない!!

アタシは、この日からカレに対して強い憎悪(ぞうお)をいだくようになってしまいました。
< 32 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop