幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。

 私は小石を蹴って顔を上げ、健一郎の顔をじっと見据える。

「三波ね、大きくなったら、お医者さんと結婚するんだって」
「え?」
「健一郎を私のお嫁さんにしてあげる! だから健一郎はお医者さんになってよ」

 私は健一郎なら、『うん』と返事してくれるのではないかと勝手に妄信していた。
 なのに……

「僕は男だからお嫁さんにはなれませんよ」
「なんで!? やだ! 私、健一郎と結婚するんだから!」

 私がやたらと大声で泣いたので、健一郎はおろおろし、心配した母はそこに駆けつけた。
 普段泣かせる方が専門で、泣くことのない私が、大声で泣いたという事件だった。
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