雨と霧と煙の異世界生活


「少し良いか。」



そんな声が聞こえ、雅の頭を撫でながら声のした方を見る。



『…!?!?!?』



え、ま、え、え、あ、え、あえ…!?!?



「…?」



胡蝶「あら、冨岡さん。」



…冨岡義勇…僕の最推し。



へっ、待って待ってなんで今ここに居るのここって蝶屋敷じゃないの…!?



冨岡「…お前に話がある。」



そう言って見てくるのは、僕。



『…僕?』



冨岡「ああ。」



マジですか!?



胡蝶「冨岡さんってば、空気が読めませんね。」



しのぶさんがにこにこと笑いながら、冨岡さんに圧をかけ始める。



…あの??しのぶさん??



冨岡「…何がだ。」



胡蝶「折角この二人が生きている喜びを分け合い、泣きじゃくる妹を励まし…そんな良い場面だったのに平気で割り込むなんて…本当に空気が読めませんね。」



『えっ、あっ、あのっ、』



冨岡「……」



胡蝶「そんなだから冨岡さん…」



あっ、待ってそれ言っちゃダメ冨岡さん傷付k



胡蝶「みんなに、嫌われてるんですよ。」



言っちゃったああああああああああ



冨岡「………」



胡蝶「ニコニコ」



やだよこの空気…このあと冨岡さんが言うことも分かるし…何雅笑い堪えてんのやめなさい笑う。



冨岡「俺は…」



あああああやめてやm



冨岡「俺は嫌われてなどいない。」



ほら!ぴしゃーんって聞こえる!!



雅めちゃくちゃ笑ってる!!



僕のお腹の所に顔埋めて笑ってる!!



僕我慢してるから肋痛い!!



もう!!(逆ギレ)



胡蝶「…す、」



『あの!!』



思わず止めて入ってしまう。



『み、みんなが冨岡さんを嫌いでも僕は好きですから!!はい!!』



…ここまで言ってやってしまったと気付く。



好きと告白混じりのことをした、とかそういう理由じゃなく。



一瞬固まったしのぶさんが…笑いをかなり堪え始めて。



雅がとうとう耐えきれず吹き出して。



それに我慢出来なくなったのかしのぶさんも笑い始めて。



…ハッキリ言って、冨岡さんがいたたまれない。



冨岡「………」



『………冨岡さん。』



声を掛けると僕の方を見る冨岡さん。



『ごめんなさいいいいいいい!!』



そう言いながらその場に土下座する。



冨岡「!?や、やめろ平気だ…傷に響くぞ…!」



『いやもう馬鹿なこと言いましたこの際切腹して詫びます!!』



冨岡「待て!!早まるな!!」



『人を笑いものにするなんてクズでしかない!!本当にクズ!!

生きてる価値もないのでここで死にますごめんなさいいいいいいい!!』



冨岡「お、落ち着け!!」



『刀はありますか、短刀でもいいです!!誰か刃物を!!』



冨岡「落ち着けと言っている!!」



その途端に入れられた手刀で我に返る。



…傷痛い。



『いっっっったいいいいい…』



冨岡「……だから言っただろう。」



『ちょ、雅…笑ってないで助けろや…。』



雅「ひっ…い、息が…出来な…」



『僕が全力で守った命を何こんな下らないことで落とそうとしてんだ…!!』



胡蝶「ふっ…楓さん、座ってくださ…ふふふっ…」



『あなたも煽るように笑うのやめましょ!?ね!?』



…何かもう、最終的には僕も冨岡さんも両方いたたまれないとか。



良かれと思って言ったのに…ダメだこりゃ、泣こう。



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