無邪気な彼女の恋模様
「で、何だった?」

「何だったって、印刷製本業務のお手伝いをしてくれって話でした。」

三浦さんからの話をかいつまんで話すと、波多野さんはうんうんと頷いた。

「あの話、百瀬に白羽の矢が立ったんだ。まあ、うちのチームだと必然的に百瀬になっちゃうよな。」

「波多野さん知ってたんです?」

「まあな。」

「だったら別に面談室で話さなくてもいいのになー。」

「まあ、三浦さんなりに気を遣ったんだろ?」

波多野さんはわかった風な口を利く。
三浦さんはバリバリのキャリアウーマンだ。
おまけに美人でスタイルもいい。
その上気が利くとなると、勝ち目がない。

いやいや、別に三浦さんと張り合ってるわけじゃないけど。
波多野さんにフォローしてもらえる三浦さんを少し羨ましく感じちゃっただけ。
私にもそういう言葉をくださいよ、波多野さん。

とか念を送っていたら、波多野さんは優しく笑って言う。

「まあ、百瀬なら大丈夫だろ。頑張れよ。」

ズッキューン!
と心臓撃ち抜かれた気がした。
不意打ちよくない、卑怯だ波多野さん。

めっちゃやる気に満ちてしまった。
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