クールな婚約者との恋愛攻防戦
「おいおい、母さん。愛梨だって子供じゃないんだから、そんなこと言われなくたってきっと分かっているよ」

「うんうん、分かってるから大丈夫だよお母さん。それはそれと、ご馳走出るよね? 楽しみだなー」

「ほら! そういうところよ! そういうこと、高原さんの前で言っちゃ駄目よ!」



そういうところよと指摘されても、私はただ純粋に、その時思ったことをそのまま口に出しているだけだ。



ーーそれにしても、高原さんとは一体、どんな人なのだろう。



私は、これから自分がお見合いをする相手のことをーー実はよく知らない。




お相手は、高原貿易グループの長男だということは聞いている。

高原貿易グループと言えば、昔はいわゆる財閥というやつで、現在でも様々な事業を展開しながらその名を日本中に、いや世界的にも轟かせている有名な組織だ。


私はこれから、その跡取りである、高原 (いつき)さんとお見合いをする、らしい。
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