「可愛い」があふれる世界へ!
ハンガリー、中央ヨーロッパに位置する内陸の国。文化にはトルコやローマの影響が反映されている。

そんな国に、野原花音(のはらかのん)は暮らしている。仕事の都合でハンガリーに二年前から転勤している。

黒いリボンのついた可愛らしい目覚まし時計が朝を告げる。花音は腕を伸ばし、目覚まし時計を止めた。

「んん〜……。今日もいい天気だな〜」

白いレースの可愛らしいカーテンを開け、花音は青空を見上げる。目の前に広がっているのは、日本とは違った家々。

パステルピンクの家具やぬいぐるみなど、可愛いものであふれたいつもの部屋。この部屋にいると、花音はどれだけ疲れていても幸せになる。自分だけの自由な空間で、過去のことも忘れられるからだ。

柔らかな色のニットシャツに、ふんわりとしたピンクのフレアスカートに着替える。今日も仕事だ。

朝ごはんに、クリーミーな野菜スープを花音は飲む。ハンガリーの食事は日本人の口に合う。なぜなら、ハンガリーはヨーロッパで唯一アジアのルーツを持つ国だからだ。
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