俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 黒髪とは似つかわしくない淡いブルーの瞳。とてもきれいで、ジッと見つめられると吸い込まれそうになる。
 自分から声をかけたくせに言葉を失い、茫然と眺めていると、男の子は怪訝そうに私を見た。

「あの……?」

 どこか怯えている男の子にハッとなる。
 私は昔から感情を表に出すのが苦手で、普通にしていてもよく怒っていると勘違いされてきた。私が余計に怖がらせてどうするのよ。

 必死に笑顔を取り繕った。

「飛行機、揺れて怖いよね。……よかったらその……手を繋ごうか」

「えっ?」

 私の申し入れに男の子は目を丸くした。

 急に馴れ馴れしかったかな。でも、すごく怖がっているし……。

 私には十歳年が離れた弟がいる。幼い頃は怖がりで甘えん坊。雷が鳴ったときは、抱きしめたり手を繋いだりしてあげると、すごく落ち着いていたから提案してみたんだけど……変な人だと思われたかもしれない。

 だけど今さら言った言葉を取り消すことなどできず、これからどうすればいいのかと考え込んでいると、男の子は恐る恐る聞いてきた。

「本当にいいの? ……僕と手を繋いでくれる?」

 ウルウルさせて上目遣いでお願いされ、胸がギュン!と痛くなる。
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