策士な課長と秘めてる彼女
「あの、真島課長」

日葵は真島課長のデスクの前に立つと、思いきって真島に声をかけた。

「なんだ、蒼井」

パソコンのキーボードを叩くのをやめた真島が、ゆっくりと日葵の顔を見つめた。

濃いブラウンの瞳が日葵の大きな瞳を突き刺すように射抜く。

「部長を通じてご連絡差し上げていましたリクルート用広告の取材についてなのですが・・・」

「ああ、聞いてる」

日葵が最後まで言い切る前に、真島が畳み掛けるように言った。

3年前、広報企画課が企画した゛社内のイケメン社員特集゛の取材を、真島は門前払いして滅多切りにした、という異名を持つ。

当時の担当はもちろん、新人の日葵というわけではなかったのだが、きっと今回も断られるのだろう、と思いつつ日葵は固唾を飲んで真島の言葉を待った。

「仕事中は時間がとれそうもない。社内メールで追って連絡するからそれを待つように」

なんと、真島は意外にも断らなかった。

日葵は拍子抜けしながらも、第一目標である取材を受けてもらうという任務を果たせたことに喜びを感じ、パソコン作業に戻った真島に

「課長、ありがとうございます」

と、大きな声で告げてお辞儀をした。

課内がにわかにざわめき始める。

゛おい、あの課長が取材を受けたぞ゛

゛どんな取材も断ってきたのにどういう風の吹きまわしだ?゛

゛課長になったのが嬉しかったのかな?゛

そんな呟きに、真島がジロリと課内を見渡す。

再度静まり返った課内に、

「日葵、引き受けてもらえて良かったじゃん」

「はい、蘭さん。嬉しいです!」

と、蘭と日葵の可愛い声が響き、自然と皆の顔が緩んでいった。

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