策士な課長と秘めてる彼女

告白

「日葵、風邪引くぞ」

「う、うーん・・・。あれっ?ここ、どこ?」

「日葵の家だ」

目を擦りながら日葵が起き上がると、そこは見慣れた自分の部屋だった。

「えっ?さっきまで陽生さんの実家にいたような・・・」

「母さんにお酒を飲まされて眠ってしまったんだ。だから俺が連れて帰ってきた」

「ええっ?重かったでしょ。なんか、陽生さんにはいつもみっともないところばっかり見せてる・・・」

「まだ2回目だろ」

「いえ、初めて会ったときも合わせれば3回目です」

俯いた日葵の発言に、陽生は驚きを隠せない。

「覚えていたのか?」

「忘れられませんよ。素っぴんにボサボサの寝起きの髪で出勤して、滑り込んだのはいいけど、陽生さんにぶつかって転んで・・・。挙げ句のはてに陽生さんの顎にへッドブローをかませるなんて新人にあるまじき行為です」

一気に捲し立てる日葵がそこまで詳細に覚えているとは陽生も思ってはいなかった。

「じゃあ、あのとき、お前が俺のこと何て呼んだか覚えてるか?」

「真島・・・先輩?」

水泳部で体育会系だった日葵は、つい学生のノリが抜けず、職場の上司をしばらく先輩と呼んでいた。

見かねた直属の上司・悠馬に叱られすぐに゛さん付け゛か ゛役職呼び゛に変えたのだが、陽生はいまだに覚えていたようだ。

「正解」

陽生は、向かい合わせにベッドの端に座る日葵の頭を抱き寄せて、チュッと唇を奪った。

「は、陽生さん」

「あのときの゛真島先輩゛はグッときた。あのうさみみみたいな二つ結びも俺的にはありだった」

驚く日葵の頭を、立ち上がった陽生は自分のお腹の辺りに抱き寄せて言った。

「もう遅い。服が皺になる前に風呂入って寝ろ」

笑顔で日葵の部屋を出ていく陽生を、日葵は呆然と見送るしかなかった。


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