策士な課長と秘めてる彼女

本心

「お願いします。どんな手掛かりでも構いません。日葵と連絡はとれませんか?」

午後一時、陽生は高梨警察犬訓練所にいた。

陽生は手塚と別れた後、この一週間で終わらせるはずの予定を調整し、自らも4日間の有給休暇をゲットした。

会社を出た陽生は、まず日葵の実家に探りをいれた。

日葵の母の口ぶりでは、日葵が家を空けていることも会社を休んでいることも知らない様子だった。

わざわざ心配させることもないと、陽生はそのまま週末の顔合わせの打ち合わせをしてその場を誤魔化して電話を切った。

蘭にも連絡は来ていないらしい。

陽生は、日葵の高校時代や大学時代の友人を知らない。

こんなとき、付き合いが浅いために起こる問題があるのだと陽生は実感していた。

゛画竜点睛を欠く゛

大体はできているが大事な部分ができていないこと。

もっと、日葵を知る努力をすべきだった。
もっと想いを伝えるべきだった。

こういう状況でこれから陽生が頼るべき人物は2名に絞られていた。

高梨警察犬訓練所の所長・高梨長門とその息子・輝顕。

さすがに頑固な日葵でも、柊との連絡手段を絶ちきる勇気まではないに違いないから。

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