クールなオオカミの過剰な溺愛



「これはキスしていいってことか?」
「……っ、どうしてそうなるの」

「また勉強する前に一回だけ。
そしたらやる気に満ち溢れる気がする」


そんなこと言って、ただキスがしたいだけのくせに。
さっきもキスしたのだ、彼の欲は深すぎる。


「ほら、目閉じて」

私の返事を聞かずに彼の手が後頭部に添えられる。
ここまで来て拒否はできなさそうだ。


「……本当に一回だけ?」
「今日はな」

「今日はって…」
「早くしねぇと時間なくなるぞ」


ああ、そうやって上手いこと言って。
明日からも私はまた煌哉に振り回されるのだ。


「寝起きだからかな、頭がぼーっとする」


胸の高鳴りが止まなくて、クラクラして。
受け入れるように目を閉じたのは全部寝起きのせい。

< 272 / 300 >

この作品をシェア

pagetop