大人の女に手を出さないで下さい
閉店作業をしてくるから待っててと、英梨紗と蒼士は追い出され2階のフロアに上ってきた。

蒼士は娘の英梨紗に梨香子の事をいろいろ聞きたいとうずうずしてどう切り出そうか考えていると、背中を向けていた英梨紗がくるっと向き直ってこちらを覗き込んだ。

「ふ~ん、トミちゃんが言ってた通りかなりのイケメン」

「え?」

不意を突かれたように目を丸くする蒼士に英梨紗は不敵な笑みをこぼす。

「蒼士くんってママ狙いなんでしょ?自分がイケメンだからってママを落せると思ったら大間違いだから」

どうもトミちゃんから情報を貰ってるのかしたり顔の英梨紗。
大分年下にくん呼ばわりされたことに面食らったが、それよりも聞き捨てならない言葉が飛び出してきて蒼士は焦った。

「大間違いってどういうこと?君は俺と梨香子さんが付き合うのは反対なの?」

年頃の子にこんなストレートに聞いたらいけないのだろうが、娘さんの反対にあったら梨香子は絶対自分に靡いてくれないというのは先程の二人の様子で良くわかった。
今日はいい機会だから娘さんと仲良くなって梨香子とのこと応援してもらいたいと思っていたのに出鼻をくじかれた。

「反対って言うかあ~、ママってああ見えてかなりの面食いなんだよね。イケメンに慣れてるというか。だからイケメンを笠に言い寄ってもダメなの」

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