このお見合い、謹んでお断り申し上げます~旦那様はエリート御曹司~


ーーコツ…


気持ちが落ち着いた頃、私は係の人の誘導でおばあちゃんと共に教会の大きな扉の前に立った。やがて合図とともに扉が開くと、その向こうに立っていた律さんが、すっ、とこちらを振り返る。

サイドを耳にかけ、きっちりセットされた髪。すらりとした白いタキシード姿は、バックのステンドグラスによく映える。


(…やっぱり、カッコいいなあ…)


思わず見惚れていると、目があった瞬間、にこり、と微笑を浮かべた律さん。彼に答えるように微笑み返した私は、おばあちゃんと共に一歩ずつバージンロードを進んだ。


ーーお父さん、お母さん、見ていますか?

私は、今日から“榛名”になります。

逢坂の名にはあまりいい思い出がないけれど、彼と巡り合えたのは、きっとお父さんとお母さんの元に生まれて来れたからだと思います。

私は、どんな私も好きだと言ってくれる人に出会えました。家族になりたいと想いを伝えてくれました。彼は誰よりも優しくカッコいい、特別な人です。


ーー私は、彼の隣で生きていきます。

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