このお見合い、謹んでお断り申し上げます~旦那様はエリート御曹司~


「あの、コンサートって、ドレスコードとかあります?」

「いや、特に決まってはいない。気負いすぎず若干フォーマルな感じにすれば大丈夫だ。百合のお気に入りの服でいい。」


家に帰ったら、クラシックコンサートにふさわしいフォーマルな服を探さなくては。少しでもお洒落をして行きたい、というのは、お金がなくても捨てきれない乙女心である。


「当日は車で迎えに行く。せっかくの誕生日なんだ。それくらいはさせてくれ。…いいだろ?」

「…こんな甘やかされて、いいんですか…?」

「当たり前だろ。俺は好きになったら甘やかしたいタイプなんだ。お前はもっとわがままを言っていい。」

「あーっ、ダメです!それ以上はキャパオーバー…!」


楽しそうに私を見つめる彼。

すでに、私を口説き落とすデートの“序章”は始まっているらしい。

ーーこうして、律さんは、すでに私が落とされていることなど知らぬまま、私にしか見せない緩んだ表情で最上級の甘いセリフを囁き続けたのだった。

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