篠田くんの取扱説明書



じろ、と睨まれて、眉を下げながら仕方なく、「はい…」と答えた。



そしたら篠田くんは財布を返してくれて、「しまっとけ」と言う。



でも…違うじゃん。



『男には素直に甘えとけ』、なんてさ…。



“友達”に使うものじゃないよ…。



顔をうつむかせたまま財布をしまっていると、



蜂谷くんがはぁと息をはいた。




「……やばいなー」




私たちの様子を見ていた蜂谷くんが、イラついたように頭を掻いた。




「どうしたの?」



「ヒント作るの完全に失敗した」




「部長にどやされるじゃん」と呟きながら、蜂谷くんは私たちに背を向けて歩いていった。



……ヒント、蜂谷くんが考えたのかな?



台紙に書かれていたヒントの欄を読んでみる。





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