篠田くんの取扱説明書
先輩が口角をあげると、ふわっと風が髪を揺らした。
「助けた?私が?」
「そう」
「いつですか?」
「今話してたエピソードだけど」
……へ?
「助けてないです…」
「ピアス取り返して、絆創膏くれたでしょ?」
「あれは助けたなんて言えません!」
ケンカ売ってボコボコにされた、哀れな私がいただけだ。
「桃奈ちゃんはそう思ってなくても、
仁は助けてもらったって思ってる。
キミを忘れたことなんてない」
「……そんなの、嘘です。
私が篠田くんの運命の人だとしたら、美月さんはなんなんですか?
篠田くんはもう、私のことなんて忘れてる」
『運命なんて変えられるし』
ふと、秋穂が言った言葉を思い出した。
そうだよ…。
運命は、変わったんだ。