篠田くんの取扱説明書
「……南」
「ん?
絆創膏の位置間違えちゃった?」
「そうじゃなくて…この絆創膏…」
「あー、気に入らない?
それ、桃にもらったやつなの。
あたし料理部だから、
ちっちゃい怪我とかよくしちゃうんだけど、
そういう時にすんごいいっぱい絆創膏くれるのよ。
心配性だよね」
呆れたように笑ってるけど、
南は嬉しそうだった。
……そんな南から視線を絆創膏に戻した俺は、より一層モヤモヤが大きくなった。
なんでこの絆創膏を、久我が持っているんだ…?
果物柄の、絆創膏。
昔助けてくれた女の子からもらった、絆創膏が入った缶ケースに、同じ絆創膏が入ってた。
今、手に貼っているオレンジ柄のもの。
それから……少し前に、寝ている間に貼られて剥がれかけていた、さくらんぼ柄のもの。