篠田くんの取扱説明書



俺がそう言うと、



大雅くんが頭を抱えた。




「……そこまで考えれて、
なんで出来ない」



「……大雅くん?」




何を呟いたのかわからなくて問いかけたら、



大雅くんは諦めたようにはぁ、と息を吐いた。




「……桃奈ちゃんがその女の子だとして、
お前はこれからどうすんだよ」




大雅くんの視線が真っ直ぐ向けられて、



俺は目を合わせることなく、視線を下に落とした。




「……俺がいると、
きっとあの時の怖かった気持ちを思い出すと思う…。
だから、あの子のために、
何も言わないで今まで通りに生活しようと…」



「……お前、いい加減にしろよ」




低い声が聞こえたかと思うと、



ぐいっとネクタイを引っ張られた。




「……大雅、くん…」



「あの子のためだと?
そんなもんはお前の妄想にすぎねぇんだよ。

綺麗事並べて、逃げようとしてんじゃねぇぞ」



< 229 / 287 >

この作品をシェア

pagetop