篠田くんの取扱説明書
突然秋穂の口から飛び出した名前に、
ドキッとした。
「な、なんで篠田くん…?」
「最近、桃と篠田くん話してるのよく見るから。
ほら、篠田くんあれからずっと、桃の席に自分の机寄せてきてるし」
「寄せてきてるっていうか、
離れてたのがおかしいんだからね?
この位置が普通の位置だから」
……まぁ、
篠田くんと話してるのは、間違いない。
とは言っても、特に話題があるわけでもないし、
会ったら挨拶をする、くらいの会話だけど。
秋穂は、『挨拶してもらえるだけでも相当すごい!』って言うから、一応…すごいんだろうなとは思っている。
「でも、篠田くんには美月さんって彼女がいるわけだし、
私があげるとか迷惑なんじゃ…」
「もらえることに迷惑なんて言ったらあたしが怒ってやるわ!ちょっと怖いけど!」