真 実
先生と入れ替わりに
私の夫だと言う・・彼
東樹さんが入ってきて
「診察、終わって良かったね。
少しずつ、体力をつけて行こうね。」
彼は、どこまでも優しげに
私に語りかける。
「はい。宜しくお願い致します。」
と、答える私に
彼は、少し寂しそうな顔をして
「そうだよね。
記憶がないから僕が、怖いよね。」
と、言う彼に
私は、慌てて
「あっ、すみません。
本当に、何も覚えてなくて。」
と、言うと
「いいんだよ。
僕にも少しずつ、なれてくれたら。」
と、言う彼に
私は、小さく頷いた。