金木犀の夢想

金木犀の匂いがした。
好きだなあって思う。
金木犀の匂いだけ色がついたらいいのに。たぶんオレンジ色がキラキラ。
mvのワンシーンて出演しているような気分になってくるなあ。この曲は絶対片想い。想像するだけでいい曲。金木犀が出てくる曲に悪い曲はないさあ。
将来、金木犀が好きな人と結婚しよう。決まり条件。


目の前で遮断機がさがる。あ、これ乗ろうとした電車の遮断機。まぁいっか。1本余裕あるし。
もし、これがギリギリのだったら遅刻だなあ。
遅刻の理由は金木犀に気を取られていました、なんて言ったら呆れられるだろうな。ほんとのことなのにな。逆に世の中の人はこの匂いを気にせずスタコラ歩いていくのかい。もっいないもったいない、1年まってやっと金木犀に触れられるのに。
頭の奥で音が響いていく。いつ聞いても切ない音。なんで踏切にこの音を選んだんだろう。もっとポップな音にしたら飛び込む人も減るんじゃなかろうか。最近の青信号の音は好きなのに。んー、例えばなんだろう。シャンシャンシャンシャンとか。
だめだな。これも暗くなる。んーならば、いっそ曲にしちゃえばいい。新宝島とか。
うわっうわっ。想像するだけでダンスしちゃう。トゥットゥトゥットゥトゥットゥトゥタタタ
あ！まてよ。でもサビ！サビの｢このまま君を連れていくよ｣ってちょっと恐怖じゃない？
わーなんか笑けてくる。にやけちゃうにやけちゃう。やだやだ、変な子に見られるよう。


私がドラマの主人公なら、こんな何気なさすぎるこの場面も綺麗に撮ってもらえるのかな。それともカットされるのかな。
人生の主人公は自分自身、なんてそんな恥ずかしいことは思えないけど。
やっぱり憧れちゃうな。

私の人生。私だけの人生。なんの価値があるのかわならないし、これから価値がでてくるとも思えない。ネガティブじゃないんだ、ただそう考えるだけ。人は生きて、最後には死んじゃう。そんのこと当たり前だけど、死はどうして非日常的なのかな。みんな最後には死んじゃうのに、どうしてそんなに、そんなに、生きてるの？ネガティブじゃないんだ。ただ、ただ考えてしまうだけ。
最近よく考える。考えて考えて考える。考えるだけ。迷想。