死者の舞踏〜最期のメッセージ〜
「ペルー……南米の国ね。南米の感染症といえば、腸チフスやA型肝炎など消化器系の病気が一年を通して見られるわ。あとはマラリアに感染する危険があるし、シャーガス病やオンコセルカ症などもあるわね」

藍はあごに手を当てて言う。マラリアの症状では呼吸器症状が目立つことがある。しかし、マラリアの潜伏期間は十二日前後だ。一年後に突然症状が現れることはない。

「ペルーは関係ないということですか?」

原刑事が残念そうに言う。藍たちは同時に頷いた。海外で大塚哲也が感染した可能性は低い。

その時、原刑事のスマホに電話がかかってくる。「あ、如月さんからだ」と原刑事は呟いて電話に出た。しかし、その表情がだんだん険しくなっていく。

「何かまた事件ですか?」

大河が訊ねると、原刑事がこくりと頷く。

「大塚さんと同じバレエ団に所属している二人が、大塚さんと同じように亡くなっているのが見つかったそうです」

藍たちの顔も険しくなった。
< 15 / 27 >

この作品をシェア

pagetop